医療法人M&Aの合併における税務上の落とし穴

【事例】持分ありと持分なしの合併

弊法人は200床の病院を運営する医療法人(持分なし)ですが、この度同じく100床の病院を運営する医療法人(持分あり)をM&Aで買収することとなりました。

経営の一体化、理事長の兼務不可、事業譲渡の場合は病床許可の維持ができないこと等の理由により、買収した医療法人を被合併法人として合併をする予定です。

譲渡対価としては売り法人の「時価純資産額+のれん代」を売り手に支払う予定です。売り手の顧問税理士からは退職金による清算と出資持分譲渡で税効率を考えてバランスよく配分すべきといわれていますが、弊法人としては法人税の欠損金活用や資金調達の関係上全額退職金で清算したいと考えています。

吸収合併存続医療法人の税務上留意すべき点を教えてください。

合併により欠損金は引き継げるのか?合併法人にみなし贈与税は課税されないか?

買い手(存続法人)としては、下記の3点に留意する必要があります。

  1. 全額退職金で清算することとした場合でその金額が大きいときは、法人税の損金算入限度額の範囲内として全額損金算入できるか留意する必要があります(なお、法人税の損金算入限度額を超える部分は法人では損金に算入することは出来ませんが、退職金を受け取った側では超過額も含めて退職所得として課税されると考えられています。)。また、過大退職金として、医療法54条の配当禁止規定に抵触しないか検討する必要があります。
  2. 合併の際に売り法人(被合併法人)に生じた繰越欠損金を合併法人に引き継ぐことは出来るか検討する必要があります。
    通常は、グループ化して5年未満に合併し、元々の売り法人(被合併法人)の役員は退職してしまうケースが多いと思いますが、その場合は(適格合併を前提として)事業規模要件(合併法人と被合併法人の売上高・従業者数・出資金の額などいずれかの規模が概ね5倍以内)や規模継続要件(合併法人と被合併法人のそれぞれにおいて支配関係発生時から合併まで事業継続+事業規模2倍以内)を満たす必要があります。
  3. 持分あり医療法人と持分なし医療法人の合併の場合、合併後の法人類型は持分なし医療法人のみ選択可能(持分ありは不可)となります。譲渡スキームとして出資持分譲渡を利用することにより売り法人の内部留保が退職金として支払われず残っている場合、被合併法人である売り法人の出資持分の相続税評価額に対して合併法人(存続法人)にみなし贈与税が課税される可能性があります(相続税法66条④)。

    (出典:厚生労働省「第3回医療法人の事業展開等に関する検討会資料」より(平成25年12月4日(水))
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