医療法人の親族内承継やM&Aの際の全損定期保険の活用事例についてご紹介させていただきます。
持分あり医療法人の親族内承継を円滑に導くための書籍を出版致します。
法人が契約者となり、理事長等の役員を被保険者、保険金の受取人が法人である定期保険のうち、最高解約返戻率が50%以下であるもの等です。
この場合、支払った保険料の全額が法人の損金とされます。
※定期保険とは、一定期間内に被保険者が死亡した場合にのみ保険金が支払われる生命保険をいいます。
医療法人では実質的に投資が出来ません(医療法人運営管理指導要綱Ⅲ2‐6)が、基本的に生命保険契約を行うことは可能です。
また、M&Aの買い手や親族内承継における後継者も先代同様にもしもの時の保障や退職金準備としての生命保険の活用は検討する必要がありますが、私の知る限り承継後の後継者に対してこれらの目的で法人契約での生命保険の活用が検討されていないケースがほとんどです。
特に毎期の課税所得が多額に出ている医療法人において、上記のような目的を達成する手段の1つとして全損定期保険の活用をする場合があります。
例えば、親族内承継をした歯科医院の持分あり医療法人の後継者から、認定医療法人制度を使いたいというご相談を多くいただきます。しかしながら認定医療法人制度は自由診療割合が2割以上の場合利用できないため、自由診療を積極的に行い、経営拡大を行っている歯科の持分あり医療法人では、法人が毎年どんどん健全になり出資持分の評価が年々上昇していくにも関わらず、認定医療法人制度を使えないという矛盾が生じます。
そこで、認定医療法人制度の代替手段として、出資持分の評価を下げた後に認定を受けずに持分なし医療法人へ移行する方法を使う場合があります。これにより移行時に法人にみなし贈与税は課税されますが、贈与税は相続人ではなく法人で納税でき、その後の株価上昇や2次相続以降の納税を回避することができます。その際の出資持分の評価引き下げ手段の1つとして、全損定期保険を活用する場合があります。法人の保有資産の相続税評価額と法人の利益の両方を減額させる効果があるため、結果的に株価引き下げにつながることとなります。
持分あり医療法人の出資持分の相続税負担の回避や法人経営の防衛手段として認定医療法人制度を活用する場合、いわゆるキャッシュリッチな法人は認定医療法人制度を活用することができません。具体的には「遊休財産(現金や現金同等物等に自己資本比率をかけたもの)」が「本来業務事業費用(本業の原価や販管費)」を超えないことが要件となり、認定後も6年間この要件を維持する必要があります。
全損定期保険を活用した場合、遊休財産を減らして、本来業務事業費用が増えるため、遊休財産対策となります。特に毎年多額の利益が生じて6年間の間に要件を維持できなくなる可能性が高い法人の対策として用いる場合があります。
全損定期保険は上記で記載したとおりあくまで最高解約返戻率が50%以下となります。
過去の運用実績が高いものであっても、必ずしもその実績が将来も約束されるわけではありませんので、そのリスクを踏まえて活用を検討する必要があります。
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