【令和8年度与党税制改正大綱を決定】認定医療法人制度は3年間延長へ

与党税制改正大綱を公表

令和8年度税制改正大綱(自由民主党、日本維新の会)が令和7年12月19日に公表されました。

主な内容をご紹介させていただきます。

▼自由民主党ホームページ「令和8年度税制改正大綱」
https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/212129_1.pdf

1.認定医療法人制度が3年間延長へ

医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等について、現行令和8年12月31日が適用期限であるところ、「3年延長する」こととしています(P66 )。

なお、先々週のコラムでお伝えした通り、医療法部分(良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(平成18年法律第84号)附則10条の3第5項)については、認定の期限を「令和8年12月31日」から「令和11年12月31日」に延長することとして、すでに法案が可決成立しています(令和7年12月5日に参議院本会議で可決、成立)。

※認定医療法人制度は「持分なし医療法人への移行計画を厚生労働大臣が認定する」ことを規定する医療法部分と、「持分なし医療法人への移行時の医療法人へのみなし贈与税の非課税や出資者が死亡した後に認定を受けた場合の相続税の納税猶予・税額控除等」を規定する税法(租税特別措置法)部分の2つの法律から成り立っている制度で、両方の法律が延長される必要があります。

2.その他の事業承継税制について

3.その他の資産課税の改正内容

①一定の貸付用不動産の相続税等の財産評価の適正化

被相続人等が課税時期前5年以内に対価を伴う取引により取得または新築した一定の貸付用不動産について、課税時期における通常の取引価額に相当する金額で評価(令和9年1月1日以降相続等による取得について適用。ただし、当該改正を通達に定める日までに、被相続人等が所有する土地(5年前から所有しているものに限る。)に新築した家屋(同日に建築中のものを含む。)には適用しない)

※課税上弊害がない限り、被相続人等が取得等をした貸付用不動産に係る取得価額を基に地価の変動等を考慮して計算した価額の80%相当額で評価することも可能

②小口化貸付不動産の相続税等の財産評価の適正化

その取得時期にかかわらず、課税時期における通常の取引価額に相当する金額で評価(令和9年1月1日以降相続等による取得について適用)

③教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置について、令和8年3月31日の期限で延長せずに終了

④重点医師偏在対策支援区域で承継・開業する診療所の不動産取得税軽減措置

重点的に医師の確保を図る必要がある区域のうち一定の区域内で承継又は開設する一定の要件を満たす診療所の用に供する不動産に係る不動産取得税について、当該不動産の価格の2分の1の額を価格から控除する課税標準の特例措置を令和10年3月31日まで講ずる。

4.法人経営に関連する税制改正

①賃上げ促進税制

※教育訓練費を増加させた場合の上乗せ措置は、教育訓練費の増加額を税額控除額が上回る場合があるという会計検査院の指導を踏まえ、廃止

②中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例

主要な対象資産の価格変動等を踏まえて、次の措置を講じた上で、適用期限を3年間延長(所得税についても同様)

③中小企業投資促進税制

工具の取得価額要件のうち「1台又は1基の取得価額が30万円以上の工具の取得価額の合計額が120万円以上であること」との要件を「1台又は1基の取得価額が40万円以上の工具の取得価額の合計額が120万円以上であること」とする(所得税についても同様)。

④中小企業経営強化税制

工具及び器具備品の取得価額要件を40万円以上(現行:30万円以上)に引き上げ(所得税についても同様)

⑤大胆な設備投資の促進に向けた税制措置
(産業競争力強化法の改正法の施行日から令和11年3月31日までに経済産業大臣の確認を受けたものに限る)

下記について、取得価額の7%(建物、建物附属設備、構築物は4%)の税額控除か即時償却が可能(一定の場合は3年間の繰越税額控除が可能)

⑥交際費課税

適用期限の到来に合わせて、令和9年度税制改正において見直しを検討

⑦償却資産の免税点の見直し

令和9年度以後の年度分の償却資産に係る免税点を180万円(現行:150万円)に引き上げる。

⑧その他

5.消費税:インボイス制度の定着に向けた対応

①いわゆる「2割特例」の終了後

いわゆる2割特例の終了後について、個人事業者で課税事業者を選択してインボイスの発行事業者となっている場合は、これまで2割特例の対象となっている個人事業者も含めて、その納税額を売上税額の3割とすることが出来る経過措置を2年間に限り講ずる。

②免税事業者等からの課税仕入れに係る仕入税額控除の経過措置

最終的な適用期限を2年延長したうえで、下記の控除割合とする。

6.個人所得課税

①極めて高い水準の所得に対する負担の適正化の見直し
(令和9年分の所得税から適用)

令和5年度税制改正で導入した極めて高い水準の所得に対する負担の適正化係る措置について、税負担の公平性の確保を図る観点から見直しを行う。

 具体的には、追加の税負担を計算する基礎となる基準所得金額(給与・事業所得、株式等の譲渡所得、土地建物の譲渡所得、その他の各種所得を合算した所得金額)から控除する特別控除額(現行3.3億円)を1.65億円に引き下げ、税率(現行22.5%)を30%に引き上げる。

②NISAの拡充

NISAの対象年齢が現行18歳以上とされているところ、つみたて投資枠の対象年齢を0歳まで拡充する。口座保有者である子が0~17歳の間については、年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円とする。子の年齢が12歳以降、子の同意を得た場合のみ、親権者等による払出しを可能とする。子の年齢が18歳に達した際、年間投資枠等について、18歳以上向けの制度に移行する。

③ふるさと納税制度の見直し

高所得者について所得に応じて上限なく増える特例控除額について、定額上限(給与収入1億円相当)を設ける。

④防衛特別所得税(仮称)の創設

令和9年1月から、所得税額に対して税率1%の新たな付加税として、防衛特別所得税(仮称)を課す。ただし、足元での家計負担が増加しないように、復興特別所得税の税率を1%引き下げる。同時に、復興事業の着実な実施に影響を与えないよう復興財源の総額を確実に確保する観点から、課税期間を令和29年までの10年間延長する。

⑤その他

基礎控除、給与所得控除、住宅ローン控除、ひとり親控除、青色申告特別控除、自動車通勤手当の非課税限度額、従業員に提供する食事代補助の非課税上限額(現行:月額3,500円から月額7,500円に引き上げ)等の拡充

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