医療法人M&Aの対価の大小と買い手の態様

はじめに

M&Aで気をつけないといけないことの一つが「買い手が譲渡対価を支払うことが出来るかどうか」です。

M&Aの対価の支払方法とその資金の調達方法の観点から、M&Aでの対価の支払において留意すべき事項についてご説明させていただきます。

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M&Aの対価の支払方法と資金の調達方法

M&Aにおける譲渡対価の支払い方法は大きく2つになります。まず第1に買い手がお金を出す方法、第2に売り法人から支払う方法です。

続いて支払対価の資金調達方法も2つあります。第1に元々あるお金を対価の支払に充てる方法、第2に借入等の資金調達で工面する方法です。

M&Aの対価の清算は、これらの2×2=4通りの方法により行うこととなります。

例えば、譲渡対価が1億円の場合に、出資金譲渡で3千万円(買い手が借入をしてお金を出す)、役員退職金の支給で7千万円(売り法人の元々ある内部留保から支払う)、という形です。

譲渡対価ごとの買い手の態様

M&Aの対価を「時価純資産+のれん代」で計算する場合、譲渡対価の大きさもさることながら、のれん代の大きさにより買い手の態様が異なってくると考えられます。

例えば売り法人の時価純資産が1億円、調整後純利益が1千万円でのれん代を2千万円、対価を1億2千万円とすると、理論的には売り法人には1億円の内部留保があるはずなので(それが現金や換金可能な資産であれば)例えば1億円をそこから役員退職金として支払い、買い手は残りの2千万円を自分で準備して出資を買い取るか売り法人で借入を起こして残りも退職金として支払うことになります。買い手が準備しないといけないお金や追加で資金調達しないといけないお金が2千万円ということで買い手が個人でも準備可能な金額と考えられることから、医療機関のM&Aであればこのようなケースは新たに開業を検討している勤務医が買い手となる場合が多いと考えられます。

これに対して例えば売り法人の時価純資産が1億円、調整後純利益が1.5億円でのれん代が3億円、譲渡対価が4億円の場合は、理論上は売り法人の内部留保から1億円を対価の支払に充てることが出来ますが、残りの3億円は買い手が自分で準備するか売り法人で借入をして準備する必要があります。このように新規に準備し根ければならない資金が多額である場合は、新規開業かM&Aかを選択肢としてこれから開業を検討している個人が買い手となることは難しく、医療機関のM&Aの場合はファンドや大手医療法人グループが買い手となることが多いと考えられます。

その他の留意点

買い手が大手医療法人グループとなる大型M&Aで法人格の譲渡ではなく事業譲渡を検討するケースでは、例えば病院の病床許可の継続や介護老人保健施設で受給した補助金の返還の要否についても注意が必要です。

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