医療法人のM&Aと認定医療法人化

はじめに

以前は「持分あり医療法人をM&Aをしたいのであれば持分なしに移行するのはもってのほか」とアドバイスをする仲介会社や会計事務所が多かったですが、最近はM&Aがらみでの認定医療法人化や持分なし医療法人への移行のご相談が増えてきました。

そこで今回は、医療法人のM&Aと認定医療法人化についてご説明させていただきます。

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持分なし医療法人はM&Aが出来ないのか?

結論から申し上げますと持分なし医療法人でもM&Aは可能です。譲渡対価の金額も「時価純資産額+のれん代」等の金額を基に売主と買主の合意した金額で決まるため、基本的には持分の有無は関係ありません。

ただし、M&Aの譲渡スキームとして、持分あり医療法人の場合は「退職金による清算」の方法の他に「出資持分譲渡」や「持分払戻による社員の入れ替え」の方法も選択することが出来ますが、持分なし医療法人は「役員退職金による清算」の方法に限定されることとなります。

M&Aの場面での認定医療法人化

最近はM&Aの場面で買主がデューデリジェンスと一緒に認定医療法人化の予備調査(認定の要件を充足しているかの調査)を希望する場合があります。また、過去に認定医療法人化による持分なしへの移行をした医療法人のM&Aが案件化したケースでのご相談もありました。売主側もしくは買主側で認定による持分なし医療法人への移行をされるのは、それぞれの立場で相続税の問題を回避する目的であると考えられます。

認定を受けている医療法人のM&Aで注意すべき事項は下記のとおりです。

  1. 認定要件を買い手側で6年間維持し続ける必要があります。
  2. 上記の譲渡スキームに関連して、認定を受ける場合は(少なくとも6年間は)役員給与額や役員退職金の金額が制限されることとなります。売主と買主で合致した譲渡金額を退職金で賄いきれない場合があります。
  3. 認定に係る6年間の間に売り法人を被合併法人として買主側の医療法人と合併する場合、認定の取消要因となります。

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