【医療法人M&A】既存クリニックを譲り受けて開業する場合の留意点

スモールM&Aで医療法人を譲り受けようとお考えの買い手の方の中には、現在勤務医で開業をお考えの方も多いと思われます。

そこで今回は、そのようなドクターが留意すべき事項のうち、監事についてご説明させていただきます。

監事とは

医療法人の監事とは、株式会社でいうところの監査役と同じような役割を担う法人の役員です。
医療法上に定められている監事の職務は主に下記のとおりです。

  1. 医療法人の業務及び財産の状況を監査すること。
  2. 毎期監査報告書を作成し、会計年度終了後3か月以内に社員総会及び理事会に提出すること。
  3. 監査の結果、業務または財産に関し不正や法令・定款等の重大な違反事実があるときは都道府県知事や社員総会、理事会等に報告すること。
  4. 報告のため必要であれば社員総会等を招集し、また理事に対し業務または財産の状況について意見を述べること。
  5. 理事が社員総会に提出しようとする議案等を調査すること。この場合において、法令若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、その調査の結果を社員総会に報告すること。

監事についてM&Aの際に留意すべき事項

医療法人の監事は、他の役員と親族等の特殊の関係がないことが要件とされています(医療法人運営管理指導要綱)。 医療法人の監事は上記のような職務を行うため、理事からの独立性が必要とされてることが理由となります。

例えば医療法人成りをお考えの個人クリニックの開業医の先生も、法人設立の際は親族以外の第三者で監事を引き受けてくださる方をお探しする必要があります。

もちろん、M&Aの場合も例外ではなく、親族以外の方に監事に就任していただく必要があります。

既存の医療法人であっても、新たに設立する場合であっても、親族が監事に就任することは認められていません。

対応策

例えば、売り手側である元理事長や元役員の方が一定期間就任する場合や、信頼のおける第三者(例:士業の方等)が就任することが考えられます。

なお、都道府県によっては、医療法人と顧問関係や取引関係にある個人や法人の従業員も監事として就任が認められないため、顧問税理士やその職員等も認められないこととなります。

また、監事は任務懈怠による医療法人への損害賠償責任を負うことになります(医療法47条①)。

大きな義務や責任を負っているうえ、親族の就任が認められていない監事の人選は慎重に行う必要があります。場合によっては専門家や都道府県にご相談される必要があると思われます。

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